2010年9月21日火曜日

奇跡の馬引退!!

先日再度の屈腱炎発症で残念ながら引退したカネヒキリが種牡馬生活に入るため、北海道の地に無事戻ったというニュースを昨日読んだ。

「砂のディープインパクト」と騒がれ、同じ馬主の勝負服で、かたや緑のターフで3冠も含むG17勝をあげ早々と引退、すでに最初の産駒が今年デヴューを果たしているのに、カネヒキリは今年漸く引退。

ディープインパクトのように引退まで故障がなく、華々しいスポットの中に居続けた馬とは対照的に、その素質を輝かせ早々とG1を4勝しつつもその後数々の故障に襲われたいわば悲運の馬カネヒキリ。

この闘病、復帰、復活の奇跡はこの馬の運命だったのだろうか。馬の癌とも呼ばれ、不治の病として、多くの素質馬の生命を断った屈腱炎。この病に犯されたカネヒキリも又、例外ではなく、最初の屈腱炎発症からすぐ引退か続行かと決断を迫られる試練が陣営を襲った。それほど当時の最新の獣医学を持ってしても完治が難しい屈腱炎。重い決断である。

しかし陣営は続行を選び、とにかく細胞移植による手術を施した。そして、一年程で一度はターフに戻れるまでに回復したものの、最初の復帰プランが実現せぬまま、再度屈腱炎が悪化し、復帰は又のびにのび、なんと2年6ヶ月も実戦から離れてしまった。普通なら絶望的な状況である。

競走生活わずか2年で引退したディープインパクト。これから考えてもすぐわかるカネヒキリの2年半以上にも及ぶ休養は、復帰そのものが奇跡に近い。復帰できてもせいぜいそこそこの成績だろうと誰もがおもった。何しろ足に爆弾を抱えながらおそるおそるの調教なのだから、、、、。

しかし、そこからがこのカネヒキリという馬の真骨頂。なんとG1連戦連勝でディープインパクトと並ぶG1 7勝まであっという間に追いつき、「やっぱりものが違う。強い馬は強い!!」と関係ホースマンやファンの常識を覆し、改めて驚愕させた。本当に健気でいじらしい馬である。

その後、又、骨折、そして一年以上をはさみ又再起。そして今回の屈腱炎(最初とは別の場所)の発症でついに引退が発表されるまで、カネヒキリは砂の王者のプライドを捨てぬ根性の走りを見せ続けた。

「さすがやはり別格の一流馬」とつい最近も名手横山騎手を唸らせたのだから名馬中の名馬の乗り味はひと味もふた味も違うのだろう。休養前は武豊騎手が主戦として芝のディープ、砂のカネヒキリの手綱を同時期にとりどちらも超一流馬の評価を下していた。

パパ「フジキセキ」は今、2歳新馬戦の勝利数で新種牡馬ディープインパクトと肩を並べているサンデーサイレンスの後継種牡馬。

片や芝の王者ディープインパクト、片や砂の王者カネヒキリ。最後まで華やかなスポットの中を駆け抜けたディープインパクトと傷つき挫折を繰り返しながら不屈の闘志で立ち上がり続けたカネヒキリ。

私にとっても素晴らしい魅力的なサラブレッド中のサラブレッドとして忘れ得ぬ一頭であり、その産駒への夢は今から大きく膨らむ。

人間達にその不屈の闘志とプライドで、「簡単に物事を諦めるな!!」と無言の檄を飛ばし続けたカネヒキリの気品ある走り。

この名馬はディープインパクトのような華やかな引退式もなく、静かにターフを去って行った。このような見事な馬を育て、細心のケアをしつつ大切に見守ってきた関係者や厩舎スタッフの方々こそ、もっと大きく取り上げられ讃えられてしかるべき。

永遠に忘れ得ぬ素晴らしい平成の名馬とその関係者にこのブログで大きな大きな拍手と感謝の気持ちを送りたい。

カネヒキリ!!本当に長い間の闘病生活と競走生活ご苦労さん!!角居調教師、厩舎の皆さんもお疲れさまでした。奇跡って呼び起こせるものなんですね。カネヒキリの奇跡の復活とその堂々たる走りをみて、深い感動と勇気を貰いました。ありがとう!!

さあ、カネヒキリ!!ゆっくり休んで、良いパパになってね。貴方のような凄まじい根性とプライドと気品を持った仔馬がターフに戻ってくるのを楽しみにしています。元気でね〜〜!!

0 件のコメント:

コメントを投稿