2010年5月31日月曜日

伏兵見参!!

話題沸騰のダービーが終わった。7611頭の頂点に立ったのは、ヴィクトワールピサでもペルーサでもなく、伏兵(実力は勿論兼ね備えているが、、、)、エイシンフラッシュだった。

馬場の真ん中から最後一ハロンを切ってデッドヒートを演じたのは、このエイシンフラッシュと2歳王者ローズキングダム。

この戦いで、多くのホースマンが改めてダービーを勝利する事の難しさと怖さと運命を強く感じたに違いない。

この日出走したサラブレッド達は、このたった一日の2分半ほどの為に、生まれ落ちてからこのレースまで、いったいどれだけの人の手を経て大事に育てられて来たことだろう。

先週だけでもローズキングダムの軽い足元の不安発症、そしてその必死の手当による克服。ダノンシャンティの最終日を前にして、骨折による無念の出走取り消しという激震のニュース。出走までの関係ホースマンの心配と緊張は大変なものだっただろう。

それほど、万全の体調でこの夢舞台に立たせることは難しい。人馬共に体調管理が大変なのだ。意外な落とし穴もあった。ローズキングダムの小牧太主戦騎手の騎乗停止処分やリハビリの遅れによる武豊騎手の無念のヴィクトワールピサ騎乗回避などなど、、、、。

そして、輸送、天気、馬場コンディションなど運も又、この勝負を大きく左右した。輸送に関しては、ヴィクトワールピサが馬運車から降りてくる様子を「ぴりぴり降車」と伝えた記事を読み、イライラして「入れ込みがあるのでは、、、」と密かに心配していた。

この心配は残念ながら当たってしまい、ヴィクトワールピサはこの大事な局面で、少し落ち着きを欠き行きたがり、3コーナーあたりでは少しかかり気味だったとか。このほんのわずかな体力ロスも最後の末脚に微妙に影響したようだ。

実力紙一重の超一流馬同士の戦いでは、こんな、ちょっとした心理面のハンデが致命傷になることもある。ゲートで出遅れたペルーサの残念なスタートのように、、、。

ダノンシャンティが抜けた後、2強対決として、ヴィクトワールピサとペルーサの初対決にばかり話題が集まり、人気を二分した両馬の陣営。平常心を貫く闘将、藤沢和調教師と角居調教師ではあったが、馬は敏感だから、やはり周りから何か目に見えないストレスを感じ、気負っていたのかもしれない。

エイシンフラッシュの藤原厩舎は調教師自身が乗馬のプロで、厩舎スタッフの多くも又、乗馬のプロ集団ときく。(大学高校などの馬術クラブ出身者)

綺麗なフォームで長距離ぶれずにまっすぐ馬を走らせながら調教し、ときには藤原調教師自身が乗りながら調教。その独特のアカデミックな調教法は多くのホースマンに注目されていると聞いている。

そんな軍団で鍛えられたエイシンフラッシュ。そしてその軍団から最後にバトンを受け取ったアンカーが、史上初の地方、JRA両方のリーディングジョッキーに輝き、昨年は武豊騎手の8連覇を阻止してJRA総合リーディングジョッキーの座についた名手内田博幸騎手。

その彼の豪腕に答え、上がり3ハロン32秒7の豪脚を繰り出しゴールを駆け抜けたんだから、エイシンフラッシュのダービー制覇も考えてみれば「なるほど、、、、」と納得できる当たり前の最高の結果。

内田騎手、藤原厩舎の皆さん、そしてオーナー、ダービー初制覇おめでとう御座います!!

又生産牧場は社台ファームでしたね。吉田照哉代表のこの馬の血統に惚れ込んだ秘話も読みました。

これまでエイシンフラッシュに携わって来たすべての関係ホースマンのみなさんはきっと数々の思い出がずしりと重く、この栄光の勝利にしばし酔いしれることでしょう。

しかし、前にもブログで述べた通り、このダービーに出走を許された今年の18頭(ダノンシャンティも含め)はすでに7611頭の中から選ばれに選ばれたよりすぐりの優駿。

そしてとてもハイレベルなサラブレッドが揃った強い強い今年の3歳世代。ここに出走できたすべての名馬に、改めて心から拍手と賞賛を贈りたい気分の今年のダービー。

目前で無念のリタイアとなったダノンシャンティの安藤勝巳騎手。そして、惜しくも乗れなかったヴィクトワールピサの武豊騎手とローズキングダムの小牧太騎手。

ゲートで後手を踏み、実力発揮とはならなかったペルーサの横山典弘騎手。その他、今年のダービー出走馬の手綱をとったすべての騎手や陣営の皆さんには、きっと将来を見据え、新たな決意に燃えていることでしょう。

ともあれ、目下のところ、3歳の幼い馬が必死に走り抜けた東京の2400メートルのタフなコースで故障なし。(まだわからないけど、、ないことを切に希望)。

このところ、予後不良、骨折脱落の可哀想なニュースが多かった中、ここで、名将藤沢和雄調教師のモットー、「一勝より一生」という私の大好きな言葉をおおくりし、各馬の陣営には又のリベンジをお願いしたい。

何しろハイレベルな期待馬ばかりが集結した史上最強と言われたダービーだったんだから、、、。見事走り終えた愛馬を心から褒めてあげてくださいね。

お疲れさまでした。関係ホースマンの皆様。さあ新しい一年のスタートですね。いよいよ近代競馬の結晶、ディープインパクト産駒のデヴューも間近。又新しい若駒が出陣の時。来年に向け皆さん益々お元気で頑張ってください。