2010年8月23日月曜日

水泳の北島選手に思う

今年の200メートル平泳ぎ世界最高記録で北島康介選手が二つ目の金メダルを日本にもたらした。パンパシフィックに参加している北島康介選手はこのあと、ロスアンジェルスの生活拠点に戻るため、日本選手団とは同行しない。

北京オリンピックの後、一旦は競泳界の第一線から離れ、後進の指導と青少年の水泳育成に携わることを発表。まだ20代の中盤。「惜しいなあ!!」と思った人は大勢いただろう。

「ちょ〜〜気持ちいい!!」などとゴール後雄叫びをあげ、派手なガッツポーズでその鋭い眼光とともに野性味を大いに感じさせた彼も、10代後半から、日本の期待を一身に集め、周りを牽引して行く重責を担い、北京オリンピック後は精神的疲労がずしりと重かったのだろう。

しかし、彼はまだそれでは終わらなかった。いや、終われなかったのだろう。彼の中に培って来た世界第一人者としての高い高いプライドが、「なにくそ!!まだ俺は終わっていない!!」ときっと沸々と闘志となって沸いてきたのではなかろうか。自費で世界選手権に参加した柔道の野村選手と同じように自分で自分に納得していなかったのだろう。まだなにか、、、、、。

今回2冠をとり、やはりまだまだ日本の貴重な宝であり続ける彼に、報道人は殺到し、すぐにロンドンオリンピック参加についての彼の確かなコメントを求めた。その答えは、、、、。

「楽しく水泳を始めてから見えてくるもの。ここから(今から)狙っていくとおもったら(気持ち)もたない。どんな大会でも、楽しみと思える試合にしたい」とのコメント。義務ではなく、楽しく、、、。

これがどれ程重く、難しい精神コントロールであるかは、すでに説明の必要はないだろう。さらりとこの言葉を投げかける彼にますます頼もしさが増した。

アジア大会(11月)の代表入り可能性に対する質問にも、「どういう状態で臨むかはこれから考えるが、何かを狙うようなことはないと思う。ベストのパフォーマンスというよりチームとしての貢献かな」というコメント。

「似ているなあ、イチロー選手や武豊騎手などのような頂点を極めた人々の精神状態に、、、、。」と感じるのは私のみだろうか。この人達は常に、自分のなすべき事を自覚し、他人に強制されるわけではなく、楽しみながら挑戦し、自分自身の楽しみと課題にしている。

まわりのがやがやは勿論、多少は精神状態に影響するだろうが、多分この人達にとっては小さな記録や栄光などが問題なのではないだろう。

きっと自己の肉体と精神と技を極限まで磨いて、理想のパフォーマンスを作り上げる自己との闘いを楽しみながら進めて行く心の余裕と研ぎすまされた境地を見いだしているのだろう。

自己の闘いとチーム(日本)への貢献のため、彼はロスに残り頑張るそうだ。こうした日本の若者が世界を超えて羽ばたく姿を見ていると、「ああ、日本もまだまだ、、、、」と少しホッとする。彼らの卓越した自己規律と勇敢なチャレンジ精神。見習いたいものだなあ〜〜〜!!

2010年8月20日金曜日

ゲーテ格言の続き

民主党の内乱が又、話題を呼んでいます。いつからこの国は選挙の為に四苦八苦する議員を選ぶ国になってしまったのでしょう。国民の為によかれと思うことは断固として決断し、実行するリーダーシップが欠けた、なんだかウロウロオタオタ政治ばかりが続く日本。

国民と政治家の間には不信感ばかりが目立つけど、だからといって、どちらも断固とした意見と決断をせぬいわば場当たり、一抜け政府と国民。誰かやってくれるだろうという他力本願。欧米や世界の人々に誇れる伝統的な大和男児(民族)よ何処?! という感じ。

先回に続き含蓄のあるゲーテの格言でも読んで、少しみんなでかんがえましょうよ。

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ゲーテ格言集 新潮文庫 高橋健二訳より

いかなる政府が最上の政府であるか。われわれ自身を治めることを教える政府がそれだ。--「格言と反省」から。

支配したり服従したりしないで、それでいて何物かであり得る人だけが、ほんとうに幸福であり、偉大なのだ。--「ゲッツ」第一幕から。

有能な人は、常に学ぶ人である。(よき人とは常に初心者であるーー本来の意味)--ローマの風刺家マルティアリスのことばより。

有能なものは、まちがっていても、毎日毎日、家から家へ働きを及ぼす。有能なものが、ほんものであったら、あらゆる時代を越えて働きを及ぼす。--「温順なクセーニエン」第二幕から。

生活をもてあそぶものは、決して正しいものになれない。
自分に命令しないものは、いつになってもしもべにとどまる。--温順なクセーニエン第八幕から。

何人も他のものと等しくあるな。だが、みな最高のものに等しくあれ。どうしたら、それができるか。みなめいめい自己の内部で完成されてあれ。--「四季」ー秋の部から。

いかにして人は自分自身を知ることができるか。観察によってではなく、行為によってである。汝の義務をなさんと努めよ。そうすれば、自分の性能がすぐわかる。--「格言と反省」から。

財貨を失ったのは---いくらか失った事だ!
気を取りなおして、新たなものを得なければならない。
名誉を失ったのは--多く失ったことだ!
名声を獲得しなければならない。そうすれば、人々が考えなおすだろう。

勇気を失ったのは--すべてを失ったことだ!
生まれなかったほうがよかっただろう。--「温順なクセーニエン」第八幕から。

中途半端にやる習慣を脱し、全体の中に、善きものの中に、美しきものの中に、決然と生くることを心せんかな。--「総ざんげ」から。

三千年の歴史から学ぶことを知らぬものは、知ることもなく、やみの中にいよ、その日その日を生きるとも。--西東詩編「不満の書」から。1818年5月より前。

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以上、すべて含蓄のある言葉ばかりですね。これらの格言を読むと、現代人は人間として精神的に進歩しているのでしょうか? むしろ退歩している感ありだと思うのは、私だけでしょうか、、、、。学びましょう。先人の智慧と勇気に、、、、。

2010年8月15日日曜日

もう大丈夫!!おめでとう武豊騎手!!

やりましたね。武豊騎手。札幌でのクイーンSで重賞を久しぶりに制覇し、インタビューでの嬉しそうな様子も堪能しました。

長かったですね。今回の負傷復帰までの道のりは、、、、。勿論すでに8月1日から復帰し、初勝利もしていますが、やはり、アプリコットフィズでの重賞制覇こそが、本格的な復帰を印象づけ、安心しました。心から「ようこそターフに!!お帰りなさい!!そしておめでとう!!」といえる気分です。

どういうわけかこの人のいない日本のターフには少し、いやかなり華が欠けます。それはきっと日本の一流騎手や外国人騎手にも同様の感ありでしょう。

孤高の一人旅で勝利数を加算して行く彼ですが、素晴らしいのは、常に驕らず淡々と我が道を行くその自己研鑽の姿。やはり、心惹かれる色々の分野の一流選手には、自己との闘いに静かに闘志を燃やす素晴らしい魅力がありますね。

ともあれ、もうすぐヴィクトワールピサが出国しフランスに向かいます。例年どおり凱旋門賞には世界の一流ホースマンが照準をあわせ、並々ならぬプライドをかけて一流馬をベストコンディションで送り込んでくるでしょう。

特に迎え撃つフランスの陣営や欧州の陣営は、一度も日本調教馬にタイトルを渡したことのない欧州の最高峰、凱旋門賞という最後の砦を守るべく、万全の構えで今年も臨んでくるでしょう。

3歳馬が圧倒的に有利(斤量)と言われるこのレース。小柄なディープインパクトが斤量の軽い3歳で出走していたら、、、、、ともう引退して最初の産駒がデヴューしている今でも残念に思うあの後味の悪いレースの結末を思い出すにつけ、今年のヴィクトワールピサと武豊がどう闘ってくれるのだろうか、、、というワクワクする思いはつきない。

ディープの主戦騎手時代を思い起こす度に恐らく唯一のやり残した仕事だと思っているであろう凱旋門賞でのディープの敗戦。武豊騎手のリベンジに燃える静な闘志が伝わって来る思いがする今日の札幌での騎乗姿だった。

今年は4歳で斤量的には厳しいが、あのナカヤマフェスタ陣営もすでに準備万端整えて出かけている。この馬にも別な意味で思い入れが深い。ぜひベストコンディションで力を尽くしてほしいと願っている。

武豊騎手も今月末にはフランスに向け出国するそうだ。今日の積極果敢なアプリコットフィズの騎乗ぶりを観て、「もう大丈夫!!凱旋門賞騎乗に憂いなし!!」と感じたのはきっと私だけではないだろう。

ともあれ、暑さ厳しき折、体に気をつけて、益々頑張ってくださいね。ファンは貴方の今日の勇姿に取りあえずホッとしているのですから、、、、。無事フランス、ロンシャンのターフに現れるヴィクトワールピサと貴方の姿を心から待ちこがれています。

老学生の夏

大変でした。16日間ストレートの講義でしたが3日目頃へたりそうになった程、久しぶりの学生生活は体にきつかったです。勿論、日本の蒸し暑い猛暑。又朝の5時起き、夕方7時頃までのフルタイム。午前4時間、午後4時間びっしりの講義。ちょっと老兵にはきついスケジュール。

昨日は最後の試験で、結論としてはなんとか完走したのですが、その前の日はバテそうで、久しぶりに肉をたっぷり食べました。

しかし、何だか充実感で胸は満たされています。英米散文研究、フランス/ドイツの寓話童話研究、東欧の社会学民族学を含む歴史と文学研究、そして最後はドイツ文学研究。

本当に満載の内容で毎日参考文献以外のプリントが数十ページ。ついて行くのに必死でしたが、やはり思い切ってサマーコースをとってよかったと心から思っています。

何しろ、知力の衰えは致し方ないとしても、体力には多少自信がつきました。毎日12時間以上のハードスケジュールをこなせたのですから、、、、、。来年も頑張るぞ!!

ドイツ文学研究の中心は勿論近代文学の代表作家「ゲーテ」。改めて二百数十年も前に近代の世界の人々の生活に強く警鐘を鳴らしている彼の天才としての凄さに触れ、感動しました。やはり、真の古典ロマンと言われる作家の作品には斬新性、普遍のモダニズムと深い感動がありますね。

皆さん勿論よくご存知でしょうが、改めて私の心惹かれた格言などをご紹介してみたいと思います。現代の我々にも味わい深い名言ばかりですから、、、、、。


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ゲーテ格言集:新潮文庫 高橋健二訳 より:

「人間の生活やその一生の運命をきめるものは、一瞬間のほかありません。長い相談をしたところで、決定となれば、瞬間にきめられることです。分別のある人だけが正しい道をとらえるのです。選択にあたって、あれやこれや思い惑い、気持ちを混乱させるのは、危険をますばかりです。」--ヘルマンとドロテーア、第五の歌から。

「人間の最大の値打は、人間が下界の事情にできるだけ左右されず、できるだけこれを左右するところにある、、、、、、、、」--ヴィルヘルムマイスターの修行時代から。

「鳥獣はその器官によって教えられる。人間は器官を訓練し、支配する。」--格言と反省から。

「外国語を知らないものは、自分の国語についても何も知らない」--格言と反省から。

「一つ所に執着するな。元気よく思いきって、元気よく出でよ!
頭と腕に快活な力があれば、どこに行ってもうちにいるようなもの。
太陽を楽しめば、どんな心配もなくなる。
この世の中で気ばらしするように、世界はこんなに広い。」
--旅の歌から。ヴィルヘルムマイスターの遍歴時代第三巻第一章から。

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では今日はこの辺で。残暑厳しきおり、お体お大切に!!