2009年3月29日日曜日

世界の壁

ドバイワールドデーに参戦した日本馬、世界の壁の高さに阻まる!! ひょっとしたら!!と淡い期待を(いや、かなりの期待を、、、)していた、テツママ、ガックリ!!残念無念!!

やはり、今年も夢の達成はならなかった。一番日本馬にとって苦手ではないかと思われた世界スプリント王決定戦のドバイゴールデンシャヒーンに出走したバンブーエールが、大健闘し、過去のこのレースに参加した日本馬の最高記録を更新して4着(過去最高は5着)、、、といっても一位との差は約7馬身。完敗。

期待の女王ウオッカも世界の脚にはついてゆけず7着。超良血の大器とうたわれ、アメリカ遠征までした若きダートのエース、カジノドライヴもあえなく8着。どちらも掲示板にすら載らず、惨敗だった。やはり、世界最強馬のレベルは高く、日本馬に影すら踏ませてくれなかった。

強い!!強すぎるのだ、、世界一の馬は、、、。 着順以上にその着差の大きさの凄さ。ウオッカはトップから9馬身ぐらい、カジノドライヴはなんとなんと驚きの27馬身も離されてしまったのだ。ただただ唖然!!脱帽!!

ウオッカのような超一流馬は、自分が不甲斐ない戦いをすると、戦いの後、なかなか納得して大人しくならず、怒っているそうだ。でも、ウオッカ!!怒らなくてもいいよ。素直に認めようよ、世界は広く、そのレベルが高いことを、、、。貴女はいつもひたむきで一生懸命走る最高の馬、、。しばらくゆっくり休んでね、、、。お疲れ様!!

WBC侍ジャパンに続けと熱く燃えていた3頭の陣営、チーム安達、チーム藤沢、チーム角居、武騎手と安藤騎手、そして日本のすべてのホースマンの落胆ぶりが伝わってくる。

しかし、実際にこの高い壁に阻まれ、世界一流馬の高い高いレベルをまざまざと見せ付けられて、彼たちは何を感じ、何を思い、何を決意して日本に戻るのだろうか。猛然と、「又、何度でもこの高い壁にぶつかるぞ!!そして、必ず必ず超えてやる!!」と決意を新たにしてほしいと願っているのはテツママだけではないだろう。

日本のホースマンは過去に、ヨーロッパ3冠、アメリカ3冠などの世界の主要レースにも挑んではきたが、まだ、世界最高峰の伝統ある凱旋門賞に、これまでもっとも近づいた日本馬は2着に健闘したエルコンドルパサーのみ。彼は半年以上もヨーロッパに滞在し、十分に環境に慣れ、そして、この大レースに挑み、2着に健闘した。

天才武豊騎手をして、「ついに出た~~!!」と感動の声を上げさせ、実際に21年ぶりに無敗の3冠馬に輝いたディープインパクトをして、この凱旋門賞は3着後失格という、苦い敗戦となってしまった。

勿論、ディープインパクトの引退が発表された後も、武騎手は、「ぜひ凱旋門賞だけでいいからディープインパクトを復活させ、再挑戦をさせてほしい!!」とマスコミを通じて希望を述べ、最後の最後まで、「今でもディープインパクトは世界最強馬だと信じている!!」といい続けていた。

それはそうだろう。凱旋門賞を間近に控え、超一流馬を見慣れている目の肥えた世界のマスコミの前で、ディープインパクトが最終追い切りで見せたパフォーマンスの素晴らしさ。その噂を伝え聞き、レース当日のオッズは何と一番人気で世界最高峰の凱旋門賞に出走できた馬なのだから、、。「ぜひもう一度リベンジを、、、」と武騎手が願った思いは真実だっただろう。もう、遠い過去の話となってしまったが、、、、。

競走馬の世界では、日本の馬づくりはまだまだ歴史が浅い。最近では、大学の馬術部を卒業し、正式に馬の体づくりや世話の仕方を改革し、血統を重視しすぎるやり方に異を唱える調教グループも増えたそうだ。

日本でそんな馬作りに励む素晴らしい若きホースマンが、長い歴史を背景に、世界最強馬を毎年送り出す欧米から多くのことを学び、ぜひとも活かしてほしいと願っている。裏方を務めるそういう現場の人々が、どんどん世界の舞台に進出し、交流を深めてこそ、日本馬のレベルがもっともっと改善されてゆくのだろう。

そして、日本の生産育成牧場の人々、オーナー、調教グループ、騎手の人々など、馬作りに携わるすべての人々の長い長い苦労の結晶として、世に送り出されるサラブレッドに敬意を払い、我々観る人々の意識も大いに高めて行きたいものだ。

もともと馬は王侯貴族とそれを守る騎士(ナイト)にのみ、騎乗することを許され、故に人間と苦楽をともにしてきた馬の歴史も又、17世紀ごろから、より速く、より強く、より逞しく改良されたサラブレッドを産み出し、その高いプライドと個性が「一流の証」という意味でも使われている。

日本でも馬術は皇室の人々には、たしなみのひとつ。英国のクラシックレースには、たびたびエリザベス女王が馬車で観戦に訪れる。日本ダービーや春秋の天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念グランプリなどは、もっと日本の皇室の人々も観戦したらいいのに、、、。

偶然、2年前のウオッカが64年ぶりに牝馬として、ダービーを制覇した時には、確か皇太子殿下も観戦しておられ、ゴール後、四位騎手がヘルメットをとり、ウオッカを静止させ、馬上で敬礼したと記憶している。美しい光景だった。

今はまだ、ロト6や宝くじのような単なる賭け事として競馬を観ている観衆が多いような気がするが、日本のホースマンの世界がグローバル化し、どんどん世界の主要レースに参加して、スポーツアスリートのように大事に育てられた日本馬が素晴らしい走りをする姿を私はもっともっと鑑賞したい。

ディープインパクトの3冠達成、菊花賞の馬券や有馬記念の引退レースの馬券を換金せず、大切な記念として未だに持ち続けているファンがとても多く、JRAでは数億円の賞金が宙に浮いているそうだ。もうすぐ無効になるらしい。素晴らしいサラブレッドの走りのみを楽しんでいるファンも多いんだね、、、、。

JRAは今年から、外国馬が参戦できる重賞レースを大幅に増やした。しかし、本当に世界中の強い馬に、はるばる遠い日本へ遠征してもらう為には、日本の競走馬のレベルを更に高め、競馬をもっと高い文化として、根付かせる努力も又必要なのではないだろうか、、、。

日本のホースマンの努力と汗の結晶、日本調教馬のレベルは確実に上がっている。それぞれのジャンルで世界一は決して夢物語ではなく、実現可能な希望となった。しかし、まだまだその壁がかなり高いことを、まざまざと教えてくれた今年のドバイワールドデー。3頭の陣営とそれぞれの騎手。今年はお疲れ様!!又来年懲りずにやってみようよ、、、、。侍ジャパンのように、忍耐強く!!