2009年6月7日日曜日

紅一点の頑張り

伝統あるG1安田記念1600メートル春のマイル王決定戦が終わった。牝馬と牡馬という組み合わせの2頭のダービー馬のマイル決戦は史上初。香港から参加した2頭も加え、アジアマイルチャレンジと銘打ち、最強マイラーが集結した豪華メンバーの紅一点、ウオッカが最後の100メートルを切ってから魅せたもの凄い瞬発力と豪脚にテツママ吃驚、そして感動!!

やはり彼女はドバイで終わってなんかいなかった。今日は先回のG1ヴィクトリアマイルで7馬身もちぎった、牝馬同士の闘いのようにはすんなりと勝たせてはもらえなかったけど、結果は皆さんもうご存知の、最後の最後の彼女のもの凄い末脚にすべての牡馬が脱帽。

勿論、牝馬の枠を大きく超えた名馬と呼ばれて久しい彼女、ウオッカ。でも、レースを終えて息を整えた後の本当に優しい、穏やかな目を見ると、やはり牝馬特有の可憐で奇麗な目。

今日は多分、昨年のダービー馬、ディープスカイは99%勝利を手にしたと思っていただろう。最後の10歩ぐらいまでは、、、、。

「満員電車内でオジさんたちに囲まれ、降りたくてもなかなか降りられない女の子のような状況で今日は虐められました」とユーモアたっぷりに最後の直線で他馬に囲まれて、スパートできなかった状況を説明していた武豊騎手。

「今日の私の騎乗は下手でした。馬に感謝です。馬を褒めて上げてください!!」と勝利騎手インタヴューで話していたが、確かに周りを取り囲まれ、出口を完全に失ったかに見えていた最後の直線。

私も「危ない!!出口がない。囲まれた、、、」とウオッカの勝利を一瞬あきらめかけた。しかし、最後の一ハロンぐらいからの武騎手の狭い狭い隙間を縫って抜け出した見事な手綱捌きを目の当たりにして、「さすが!!」と本当に超一流の素晴らしいものを見せてもらった気がした。

思惑がはずれ、馬混みに閉じ込められ、自分の描いた作戦が裏目にでたことを正直に話し、「下手な騎乗でドキドキさせてすみません。馬に助けられました!!」と話していた武豊騎手。しかし、誰もが目を疑ったあの一瞬の脱出劇と最後の最後の大逆転劇は、やはり、武豊騎手の冷静沈着かつ剛胆な超一流騎手の手綱捌きなくしては生まれてこなかったことだろう。

ピンチを見事な大逆転劇につなげ、ますます紅一点のウオッカの強烈な末脚にスポットライトをあてさせ、素晴らしいエンディングに導いてくれた武豊騎手。春の東京G1最終レースを飾るに相応しい興奮と感動をありがとう。そしてウオッカをここまで素晴らしく磨き上げてこられた陣営の皆さん、本当におめでとうございます!!

ウオッカ!!貴女は本当に円熟した素晴らしい女傑。まだまだ、引退させるには惜しいまさにまさに今が旬の堂々とした名馬。牝馬史上初の10億円馬、牝馬単独最多G1勝利記録など、数々の金字塔を打ち立てたこのヒロインのドラマはまだまだ終わらせたくない、、、。