2010年3月3日水曜日

国境を超えさせる力

バンクーバー冬期オリンピックが閉幕し、日本選手も続々と帰国し、その報道に沸いている。韓国では、キムヨナ選手の金メダルに大フィーバー。韓国中が大騒ぎ。

オリンピックの数々の闘いは、本当に清々しい感動を人々に与えた。結果はどうあれ、それぞれの参加者が精一杯の挑戦をする姿に無条件で心が震えた。

4年に一度の祭典のために、自己規律と自己管理を強いられ、強い意志をもって能力の限界に挑む。そんな姿に魅了されない人はいないだろう。

そして、喜び、安堵、悔しさ、悲しさなど、様々な感情を押さえることができず流す涙に、もらい泣きした人々も多かった事だろう。私もそんなひとりだった。

話は変わるが、息子が今、多言語習得に関するブログを書いている。一に環境、二に環境と、自分の環境を自分で作る(勿論成人してからの事)努力が、最短の学習成功法であることを色々な角度から分析して述べている。

彼にとっての素晴らしい言語習得への早道は、旅とスポーツの中に見いだしている。私も同感だ。

スポーツと音楽ほど、国境をすぐ超えさせ、仲間意識を持てるものは少ない。モントリオールにはジャズフェステバルとドラムフェステバルという、世界的に有名な音楽の祭典がある。

そこでしばしば目にする光景は、口角泡を飛ばして目を輝かせ、意見交換をしている多くの人々の輪だ。さぞ親しい仲間なんだろうと思って訊いてみると、「いやあ、今、会ったばかりだけど、、、、」という意外な答え。

素晴らしい音楽、特に自分の熱中している楽器などの巧みな演奏に感動すると、その場に居合せたすべての人々の心がすぐに繋がるらしい。あっという間に心が開かれ、会話の友となる姿を私は何度も目にした。

スポーツもしかり。特に団体競技でチームを組むと、その心の絆はすぐに結ばれ、あっという間に壁が消える。息子は中学高校時代、アイスホッケーでこの貴重な体験をした。

バンクーバーオリンピックで、氷上に高々とあがったカナダ国旗を見て、息子の胸に去来したのも、過ぎ去った青春の日々、自分のフランス語を鍛え上げてくれたチームメートと、大好きなアイスホッケーにのめり込んでいた日々のことだっただろう。

スポーツや音楽、そして、旅の開放感はすぐに世界の人々の心の壁を超えさせ、心を開かせてくれる。その素晴らしさ、感動に触れて不屈の精神を磨き、絆を結び合う人々に国境はないと心から信じている。