2009年6月3日水曜日

昭和の俤

昭和を代表する音楽界の巨匠が次々と姿を消してゆく。作曲家遠藤実氏、三木たかし氏、そして作詞家石本美由起氏。演歌の巨匠が残した昭和を代表する名曲の数々を挙げればきりがない。

それらの曲や詩に励まされ、慰められ、明日への活力を貰った人々も数多いことだろう。すべてのジャンルの音楽を気分によって聴きわける私も、これらの昭和の巨匠が残した多くの日本の演歌に心を動かされ、時に涙し、時に明るく前進する活力を貰った一人だ。

特に最近亡くなった石本美由起氏と歌手美空ひばりのコンビで生み出された数々のヒット曲は、私の青春時代の懐かしい懐かしい思いでの歌の一つとなっている。

明るいマドロス調の歌「港町十三番地」、聴くたびに、思わず歌に引き込まれ涙が滲んだ「悲しい酒」など、私の心に深く残っている名曲は、これからも時代を超えて多くの人々に口ずさまれてゆくことだろう。

こうして、昭和の俤が一人一人と消えてゆく中で、最近、石原裕次郎23回忌が話題を呼んでいる。なんとなんと23回忌の記念行事を東京ドームで行うというのだ。石原プロの数々のプランが発表され、石原軍団の手により、ファンに届けられるこの記念イヴェント。

改めて、昭和を駆け抜けた石原裕次郎という一人の俳優、歌手の偉大なる足跡が偲ばれる。当時、男優といえば、水も滴る良い男、高い演技力、タニマチの有無などなど、スターダムに昇るには多くの条件を備えている必要があった。

そんな中、当時現役の慶応ボーイで、良家のお坊ちゃん。湘南の海で颯爽と遊ぶスポーツマンというまったくこれまでの俳優というイメージや殻を破った石原裕次郎という青年が、本当に新鮮で、格好よく、多くの若者の心を捉えた。

「演技力??」多分それほど無かったと思う。「タニマチ??」勿論ない。「水も滴るいい男??ウ〜〜ン、どうなんだろう??ちょっと不良っぽいあの眼差し」。

これまでの俳優というイメージから言うと、全く新しいタイプの俳優が、いきなりドラムを叩き、歌を歌い、「股下何センチ??」というのが当時の格好いい男性の規格となるほど長い脚を自慢にスクリーンに飛び出してきたのだ。

勿論、現石原慎太郎都知事は当時すでに小説家としてかなり有名で、大いに注目されており、その弟ということで、最初から恵まれたスタートを切ったことは間違いない。

しかし、後には、この弟の残した偉大なるスターとしての足跡が、兄、石原慎太郎氏の大きな政治的バックボーンとなったことは、事実であろう。

没後23年を経た今でも、東京ドームで23回忌を開ける石原裕次郎という昭和の大スター。そして、その昭和の大スターを尊敬し、男の友情で結ばれ、石原軍団を結成してきた渡哲也、館ひろし、神田正輝、三浦友和などの現役スター。男同士の深い絆を感じさせてくれるこのイヴェント。私も注目している。

礼儀正しく、面倒見がよく、男のロマンを追い求め、自由奔放に昭和を駆け抜けた魅力的なスター石原裕次郎。「やはり、昭和はまだまだ生きているんだなあ〜〜!!歌も、俤も素晴らしいものは永遠なんだ、、、、、」。