2009年10月29日木曜日

やはり天才

私は昨日友人と「沈まぬ太陽」というまさにJLをモデルにしたとしか思えぬ話題の映画を鑑賞した。

3時間以上の長編映画で、途中10分の休憩をはさみ、見応えのある映画だった。そして、主役から脇役に至るまで、本当に当代の名優揃いの重厚な演技だった。

原作は山崎豊子。この人の作品はどれもスケールが大きく話題作ばかり。この作品も内容が内容だけに、なかなか映画化されず、幾多の困難を乗り越えようやく完成にこぎ着けたらしい。

あのJLの御巣鷹山の悲劇を内容の中心にすえ、組合活動を続けた主人公の会社に翻弄された激動の人生を追ったものだが、ドロドロした企業内の争いや、官僚との醜い争いなど、よくぞここまで筆で追えたものだと思う程、フィクションとはいえ生々しく、公開までに色々なところから横やりが入る訳だと、変に納得した。

今、JLにひたひたと忍び寄る再生への動き。あまたの航空会社の悲劇の首切りなど、まさに上映のタイミングとしては、どんぴしゃりの公開タイミング。違う角度から航空運賃や航空会社の経営状況を見つめ直すヒントも与えられ、色々と教えられた。

そしてこの他に、私にはもう一本、どうしても観たい映画があったので、昨日のうちに今日の前売り切符を買っておいた。そして二日連続で今日も同じ映画館を訪れた。その映画の名前は、「This is it.」

あのマイケルジャクソンが今となっては最後となってしまった、7月の英国公演にむけて懸命のリハーサルを重ねていた様子を抜粋して、ファンと残された子供達への記念として完成された映画だ。

公開はわずか2週間。世界中でその公開が話題を呼んでおり、前売りでも買わねば、良い席はないだろうと考え、久しぶりに昨日前売り切符を買った。

他の映画なら、週日の午後の切符を買うのはそれほど困難ではないが、さすがにこの映画は話題性が高く、前売りを買った方が安全だと思い昨日購入しておいてよかった。

やはり、今日、週日の午後だというのに、映画館は満席だった。内容は勿論、マイケルジャクソンの観るものを圧倒するようなパフォーマンスの連続。

「キングオブポップ」の名を汚さぬ、存在そのものが大スターのオーラ。バックダンサーも世界から集まった応募者からふるいにかけられた精鋭ぞろい。

しかし、それらの精鋭ダンサーとどこがどう違うのかわからないが、彼の動きはまるでしなやかな彪のように、ステップもターンも軽やかで、一つ一つの動きにめりはりがあり、ピタッと決まった精密機械のロボットのよう。

全身から溢れる大スターのオーラに彼の姿にだけ別のスポットが当たりまくっているような、きらびやかな印象をうける。

身に纏っている衣装はエルヴィスプレスリーの豪華さとはほど遠く、又、体も細身で一見弱々しく見えるのに、動き始めた彼は、形容しがたい存在感があり、彼のみが放ちうる「マイケルジャクソン不滅の激震!!」を観るものすべてに感じさせる。まさにまさに天才の芸。

3年程前、ラスベガスでそっくりさんの芸を観て、それなりにかなり満足し、楽しんだ私だが、本物を観てしまうと、本当に題名どおり、「This is it!!」

マイケルジャクソンは余人の到達できぬ素晴らしい才能を持ったオンリーワンの天才だった。

栄光のかげで不眠に悩まされ、完璧な姿を久しぶりに英国でファンに見せるため、血の滲むような努力を重ねていた、今春のマイケルジャクソン。

そして、このリハーサルの素晴らしい成果を英国でファンに見せることなく6月に永眠してしまったマイケルジャクソン。

あなたは確かに、「キングオブポップ」。映画が終了したとき、画面に向かって、多くの人が拍手をしていた。

長く映画を観ているが、映画館で感動の為、誰もいない画面に向かって観客が拍手するのを初めて聞き、思わず私も拍手してしまった。

映画祭や華やかな役者が舞台で挨拶している映画でもない。しかし、そんな感動が自然とわき上がってくる程、ひたむきなマイケルジャクソンの精一杯の努力。

そんな彼の姿をこの画面でみて、私はマイケルジャクソンの巷でのスキャンダルが絶対に嘘ではないか、、、と心から思った。

それほどこの画面を通して伝わってくるマイケルジャクソンのリハーサルでの姿は、ひたむきで、才能に溢れ、周りの人々を優しく包み込む、謙虚で温かい姿だった。

この作品は残された3人の子供さんとファンに捧げるために製作されたフィルムとか。志半ばでこの世を去ったマイケルジャクソン。

貴方は間違いなくこの3人のお子さんの素晴らしい素晴らしい自慢のパパで輝かしいヒーロー。そして、世界のファンの心の中で、永遠に生き続けることでしょう。