ルメール騎手はテン乗りのウオッカの気性も距離不安も克服し、見事シンボリルドルフ、ティエムオペラオー、ディープインパクトの最多G1記録、7勝に導く素晴らしいエスコート。文句なしの好騎乗だった。
この勝利で牝馬としては日本のG1史上初の7勝馬となったウオッカ。64年ぶりの牝馬ダービー馬ウオッカの名はこのジャパンカップ国際G1馬のタイトルを加え、更に輝きを増し、永遠にJRAの歴史に刻まれる。そして鞍上を努めたフランスの名手、C.ルメール騎手の名も記録達成者として燦然と輝き続けることだろう。
ルメール騎手にとっても念願の初のジャパンカップ制覇。大任を果たし、ほっとしているのではないだろうか。本当におめでとう!!そして素晴らしい騎乗をありがとう!!
ウオッカの今回のメンバーでのG1勝利は限りなく貴重で大きい1勝だった。近年稀にみる強豪を相手にしての勝利だからだ。並のG1、1勝ではない。
目下、古馬として世界最高のレーティング125を獲得している英国の名馬、コンデュイットを撃破し、並みいるG1牡馬、牝馬を従えての勝利。お見事としか言いようがない。
やはりウオッカは凄い牝馬であることを再確認したこの一戦。C.ルメール騎手のウオッカ評は、「ウオッカは牝馬ではない。牡馬だ。これまでに経験したことがない乗り味だ、、、」とのこと。さもありなん。その牡馬顔負けの雄大なる馬格と悠然たる落ち着き。
世界中が注目していたこのレース。なぜなら今年、凱旋門賞と並び称される英国の最高峰、キングジョージを制し、アメリカの最高峰BCターフを連覇したコンデュイットが参戦していたからだ。
ジャパンカップを知り尽くしている、サーの称号を持つ英国の名伯楽、スタウト調教師が自信を持って送りこんできた名馬コンデュイット。
牡馬としては小振りで、馬格はあまりないが、調教では見事な筋肉と独特の上品な風格を見せつつ素晴らしい走りを披露していた。
重厚な気品と落ち着いた風格のある動きに魅了されたファンも多かったことだろう。確かにコンデュイットはモンジューに匹敵するジャパンカップ史上最大の強敵だったことは疑う余地がない。
さすがに英国からアメリカ、英国、日本と短期間に3度の長距離輸送を経て、アウエーで闘う厳しさに、惜しくも4着止まりだったが、十分にその強さと威厳は伝わって来た。このまま日本に残り種牡馬になる彼。日本の馬産界に素晴らしい血を沢山残してほしい。
その強豪を含め5頭の外国からの刺客を寄せ付けず、日本馬が1位から3位まで独占したのは、特筆すべき快挙だ。
特に、牝馬の圧倒的な存在感。3着のレッドデザイアも3歳牝馬でコンデュイットに先着したのだから、十分ウオッカの跡継ぎになれる逸材だ。
そのレッドデザイアと常に勝ち負けを競うブエナビスタも今回は参戦しなかったが、実力が世界に証明されたようなもの。本当に強い今年の3歳牝馬世代。又これからの楽しみが増す。
それにしても、わずか鼻差で破れたオーケンブルースリもやはり前評判に違わぬ豪脚を見せてくれた。ゴールまでの凄い叩き合いでウオッカを追い詰めたあの素晴らしい末脚。
かつて最強世代を勝ち抜き、ダービー、ジャパンカップ勝利の栄誉を讃えられ、その年の年度代表馬に輝いた父ジャングルポケットの血は見事に息子、オーケンブルースリにも受け継がれていた。
ジャパンカップを勝利した父ジャングルポケット産駒の意地を最後まで見せ、父が走った同じ舞台で激走し、ウオッカと写真判定の鼻差まで追い込んだ彼の意地も今年のジャパンカップを語るたびに話題にのぼることだろう。
ジャパンカップ父子制覇こそ鼻差で叶わなかったが、目下日本のリーディングジョッキー、内田博幸騎手の面目躍如。去年の菊花賞、菊の大輪はフロックではなかった。
それにしても気になるのは、ウオッカの今後。まだまだ進化している彼女の走りは是非みたいもの。それに、3歳牝馬代表格のブエナビスタとの牝馬対決もまだ終わっていない。
勿論今の実力なら、ウオッカに軍配があがるのだろうが、スペシャルウイーク産駒のブエナビスタ、母はあのビワハイジ。実力的にはディープインパクト級の父の自慢の娘として、母ビワハイジの夢も載せ、ぜひウオッカに挑戦させてやりたいと思うのは私だけだろうか、、、、。
ともあれ、期待通りウオッカ始め日本産馬の素晴らしい進歩が見えた今年のジャパンカップ。世界の壁はもうあとわずか。いや、もう超えつつあるのかも、、、。
今年の3歳最強牡馬で怪物と言われ、すでに引退を発表している欧州年度代表馬シーザスターズやアメリカの最強牝馬ゼニヤッタ、レイチェルアレクサンドラなどに挑戦させてあげたいなあ、、、。もう、夢物語ではなく、そんなレベルに限りなく近づいている日本のサラブレッド達。
ともあれ、おめでとう谷水オーナー!!角居厩舎の皆さん。皆さんの愛と努力の結晶がウオッカ。きっとこの愛娘が愛しくてならないでしょう。
必ず将来は素晴らしい子供達を出して賢母になってくれると信じています。だって父系の名血はいうまでもなく、ウオッカの牝系にはその昔、Blooming steam engineと呼ばれ、走り出したら誰にも止められぬ高速馬サンシモン、名馬シカンブル、シーバードなどの名血が脈々と流れているんですから、、、、。
写真判定が終わり、「5」の数字が掲示板にあがったとたん、陣営の皆さんは万歳をされ、号泣されたそうですね。谷水オーナーの目にもこらえきれぬ感動の涙が、、、、。
そんな感動を呼びおこさせてくれるウオッカという馬はなんて素晴らしい馬なんでしょう!!陣営の皆さん本当にお疲れさま。念願が叶ってよかったですね。ウオッカでしばし酔いしれてください。
そして出来れば、引退前の近い将来、ウオッカVSブエナビスタという最高牝馬対決の夢を見させてほしいんですけど、、、。期待しています。きっとすべてのファンの夢でしょうから、、、、。(すでに鼻出血を発症し、有馬記念は出走不可能との残念なニュースを前に儚い希望かな、、、、)