2009年10月24日土曜日

ずしりと重い内容

今日は映画の話。息子と久しぶりに午後、映画を観に行った。「私の中のあなた」と訳されている映画。原題は「My sister`s keeper」。ある家庭の中の話を取り上げたもの。

簡単に言えば、その家庭の娘がまだ小さい子供の時、白血病に犯され、両親が立ち上がり、手を尽くして闘うストーリー。

ある日、医者から秘密裏に最も治療に効果的な方法は、遺伝子が適合するもう一人の子供を試験管で培養し、産むことだと知らされ、病に犯された娘を助けたい一心で新たな子供を産むことを夫とともに決断する。ドナーとして育てる為だ。

そして生まれた子供は、次々と姉の病を治すため、組織や細胞を移植させられ、14歳の時、姉に腎臓移植が必要になったことを知り、自分の身の回りのものを売りさばき、わずかなお金を持ってある弁護士の事務所を訪れ、自分の両親を訴えたいと申しでる。

「もうこれ以上、自分の許可なしに、自分の体を切り刻まれ、姉に自分の臓器や組織を移植したくないから腎臓移植を強要する両親を訴える!!」と言い出したのだ。弁護士はその願いを受け入れ、裁判に持ち込む。

両親は実の娘に訴えられ、移植を断念させられた姉はドンドン体が弱り、刻々と死が近づいてきている。母は半狂乱になり、法廷でこの娘を非難。家族全体がばらばらになり、この一家は家庭崩壊の危機に直面。

そんな中で、思い出形式で色々な家族の思いが語られ、死の危機に直面している姉の儚い恋の話もあり、感動的なストーリーの展開が見事なタッチで描かれている。そして、素晴らしいバックミュージックの中で最後の思いがけない結末を迎える。

全編を流れているのは家族愛。そして考えさせられるのは家族という大切な人の死を迎える日への立ち向かい方と現実を受け止める心の準備の仕方。

幸せな家庭が一人の娘の白血病を告知された日から暗転。それぞれの家族の思いがばらばらになり、食い違って行く中で、こんな思いがけぬ素晴らしいラストシーンを迎えることになるとは最後の最後まで予測できなかった。

エンドマークが流れ始めてすぐ、この映画に出会えて本当によかったと思った。若い息子の感想も同じだった。「久しぶりに本当に見応えのある、素晴らしい映画に出会った感がある」とのこと。

試験官の中で、姉のドナーとして適合するかどうか、医師と両親に遺伝子をチェックされ、適合するから出産すると決められたことに傷つき苦悩する妹。

そしてこれ以上、両親が姉の為に自分の体を自由に使うことを拒否し、弁護士を雇い法廷にまで母を引き出した驚くべき反抗。

しかし、最後のどんでん返しで、決して非情なだけの妹ではなかったこと、そしてばらばらになっていた筈の家族がお互いに心の絆で繋がれていたことを知り、なんだかホッとした。

同時に、人間の死とは、本当に神のみぞ知る世界であることを改めて感じさせられ厳粛な思いを抱いた。とても見応えがあり、ずしりと重い、内容のある良い映画だった。