2009年5月27日水曜日

映画鑑賞(2)

5月20日にカナダから日本に移動し、ちょっとがたがたしていて、ようやく又落ち着いてブログに向かう静かな時間がきました。

昨日と一昨日の二日間は例によって例のごとく、我が友人との楽しい映画鑑賞タイム。念願の映画、新たに話題となった映画を二日間に立て続けに3本観ました。

「グラントリノ」「消されたヘッドライン」「天使と悪魔」。どれも凄いです。飽きない展開です。迫力も満点で、噂に違わぬ名画です、、、、とまあ、私は思うのですが、、、、。

「グラントリノ」に関しては、前にすでにご紹介し、まさにその通りの圧巻の内容でした。「消されたヘッドライン」は新聞記者の事件に取り組む姿勢とストーリーの展開の早さに引き込まれました。

「天使と悪魔」に関しては、聖地ヴァチカンを舞台に法王なきあとのコンクラーベを巡り、有力候補4人の誘拐事件が発生。殺人予告された犯人と、ギリギリのタイムリミットの中をヴァチカンに保管されている貴重な過去の事件資料をもとに推理しながら救出を試みる大学教授と科学者のスピード感溢れ、迫力ある演技が見事。

とまあ、3本とも実に良くできた映画であることには脱帽。スケールの大きさなどでは、むしろ「消されたヘッドライン」「天使と悪魔」の方が明らかに費用も近代撮影技術にも工夫を凝らした力作だと認めざるを得ない。

しかし、しかしである。このすでに半分以上女性を卒業し、女性専用車にのらずとも、痴漢などに襲われる心配の無い老婆テツママの心を鷲掴みにしたその映画は、、、やはり、やはり「グラントリノ!!」

3本観た後、すでに二日前の最初の1本として観たこの映画が、、、というより、この映画のクリントイーストウッドの眼差し、動作、軽妙な会話、偏屈故に巻き起こす近隣の人々との笑えるトラブル。そんなそんな彼の重厚な演技と鍛えられた肉体から醸し出される80歳近い男の色気に久しぶりにテツママ、クラクラ!!ノックアウト!!

メラメラと届かぬ海の向こうの大スターに恋心勃発。ドラマの中で不器用で偏屈な生き様しかできない、妻を無くした晩年の老人を演じていたが、その一つ一つの会話に、動作に、そして時折見せる荒々しさに何とも言えぬ男の魅力をフンプンと感じるのはテツママだけだろうか。

「消されたヘッドライン」の主役はラッセルクロウ。「天使と悪魔」の主役はトムハンクス。どちらも重厚な演技を誇る個性的な名優ではあるけれど、この80歳近いクリントイーストウッドの醸し出す男臭さ、それでいて品と知性を失わぬ男の色気の前には、何かイマイチ欠けている物足りなさを感じてしまう。(勿論、テツママの評価基準に基づくものであり、大いに異論はあろう!!)。

しかし「グラントリノ」は、戦争を身近に感じ、人生経験や老いの寂しさなどを体感してきた我々の年代だからこそ、心に響く感動と共感の嵐が巻き起こり、それを演じる彼の魅力も又増幅され、心を揺さぶられるのやも知れぬ。

若い人ならきっと、映画はフィクションの世界で、サスペンスやアクションのストーリーの面白さを追い求め、ひとときの娯楽として楽しむことだろう。それなら多分この3本を比較すると「天使と悪魔」「消されたヘッドライン」そしてしんがりが「グラントリノ」の順番かな。

でもでもでも、皆さん!!クリントイーストウッドの「映画人」というより、人間として、役者として、「彼自身」のすべてを注ぎ込んだ力作、「グラントリノ」見逃す手はないと思うよ〜〜〜〜!!特に英語がかなり堪能な人。その粋な会話のやりとりがまさに圧巻!!

こんな素晴らしい映画をみて、「戦争」という人間の愚かな戦いに反対し、人種を越えた平和な世界が実現するよう、我々も老骨でも微力を尽くそうよ!!

クリントイーストウッドの主演作品最後となるかもしれないこの「グラントリノ」。戦争の深い傷跡、その苦悩から孤独に陥った人間が晩年に得た人種を超えた触れ合いの素晴らしさ。きっと見終わった皆さんの心にも暖かいものが満ち溢れてくる名画だと思うよ。

以上、鑑賞後の感想報告でした。