2010年7月1日木曜日

オシム氏の苦言

4年に一度のサッカーの祭典ワールドカップの決勝リーグがまさにたけなわ。侍ブルーの日本代表チームは大いに健闘し、決勝リーグに駒を進めたが、昨日、惜しくもパラグアイ戦でPK戦による敗戦となってしまった。

実は私はサッカーにはあまり詳しくないが、日本代表チームの頑張りが今回、日本国民を大いに勇気づけ、明るくし、4年後に向けて「やれるぞ日本!!」という大いなる可能性を残してくれたことは本当に嬉しく思う。岡田監督とすべての参加選手に拍手を送りたい。

この感想はすべての日本人の共通した思いらしく、ネットのオンラインニュースのスポーツ欄はほぼ同じ感動と希望に溢れた言葉ばかりだった。

しかしその中で日本選手を大いに讃えつつも、一言最後に苦言を呈したイヴィチャオシム氏のコメントがとても深く印象に残った。

そのコメントとはパラグアイ戦を闘い終えた日本選手団の健闘ぶりを大いに讃えた後の「日本選手は大いに健闘した。しかし、日本選手に少し足りなかったものは、武士の時代の侍や第二次世界大戦における神風特攻隊のように、真に勇敢に闘う心の強さだった」というコメント。

彼はかつて日本サッカー界を指導する優秀な監督としてJリーグにも在籍し、2006年のワールドカップ日本代表監督として指導中に脳梗塞で倒れ帰国。それからも常に日本サッカー界に温かい応援をしてくれている親日派だ。

だからこそ、本当に何度か得点チャンスがありながらPK戦までもつれ込み、最後は惜しくも破れた日本チームに心から残念でたまらず、本音が出たのであろう。

オシム氏は学生時代、東欧の名門サラエヴォ大学で数学、物理、哲学を学んだインテリ監督。在学中は数学が得意だったそうだが、サッカーでも早くから非凡な才能を発揮し、母国ユーゴスラビアの代表選手として東京オリンピックにも参加したそうだ。

その後世界各国でサッカー指導をしてきた多くの経験と哲学的思想、数学的分析力で独特の訓練指導法を発案し実行してきた人。日本在籍中の選手の観察力はベンチをあたためている出場できない選手の行動にも注がれ、異例の抜擢や選手交代はその鋭い選手の闘う心の洞察力が基礎となっていたと言われている。

自国も戦乱に巻き込まれた辛い体験を持つオシム監督の実体験や鋭い精神力の観察は正に現代日本が唯一過去から学び切れていない歴史の重さを鋭く突いているのだろう。

武士道を基盤とした侍教育、神風特攻隊の国や家族を命がけで守る勇敢な戦士の精神力を厳しく鍛えたのは父親のみでなく、母親たる日本女性の素晴らしい頑張りであった。

自分自身の精神をも厳しく鍛え、侍として立派な男児に育て上げるには、母たる女性の心の強さもあったればこそ。今の日本の苛めや精神的な混乱、闘う時の精神力の弱さをみるにつけ、忸怩たる思いがする。

日本の文部科学省始め政府関係者は単なるスポーツの問題と捉えず、オシム氏のこの素晴らしい苦言をぜひとも日本の現代教育の盲点として捉え、精神力の強い健全な心の子供を育てる教育プロジェクトを直ちに作成してほしい。

国技たる相撲の世界の混乱。陰湿な苛めや自殺など、どこか狂っているとしか思えない現代日本の抱える不健全な歪みはすべて男女ともにこの心の弱さを克服する精神鍛錬の激減に端を発しているとしか思えない。

心身共に自信が持てる強靭な精神力と肉体を持つ子供を育てることがまず、サッカー侍ブルーが一日も早く世界制覇を達成する早道。技術的にはもう、大いに世界レベルの日本であることを証明してくれた今年のサッカーワールドカップ日本代表の頑張り。

貴重な苦言で現代日本の若者に喝を入れてくれたオシム氏の苦言をすべての日本国民、特に文部科学省の皆さんには見過してほしくない。

苛めや不健全な環境で自己の進むべき道を見失い、日本の宝である子供が引きこもりになり、その才能を開花させ得ないまま自信を喪失して行くのを私はもう見ていられない。

何とかしてください、日本の教育界を牽引して行く文部科学省の皆さん!!そして日本国民の皆さんもこのオシム氏の苦言を真剣に考えなくちゃ。自分たちの未来の幸せの為に、、、、、。